川井書生の見聞録

映画評論、旅行記、週刊「人生の記録」を中心に書いています。

映画

体制とアウトローの狭間で 『ノマドランド』感想・考察

雨の日は(晴れの日もだけど)本を読んだり映画を観ること多い。先日の大雨の日は2021年のアカデミー作品賞を受賞した『ノマドランド』を観に行った。梅雨とは無縁そうな、荒涼としたアメリカの大自然を舞台に漂うノマドたちは、現代の開拓者なのか?

シン・ゴジラと空母いぶきとの比較 映画『Fukushima 50』感想・考察

今週のお題「おうち時間2021」。僕はおうち時間に映画を観ることが多く、最近は2021年に日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した『Fukushima 50』を観た。この映画は、福島第一原発の事故に対応した東京電力の社員たちの命を賭けた奮闘と、震災や事故に巻き…

ウディ・アレンとストラーロが描いた赤と青のNY・晴れと雨のNY 映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』感想・考察

神経症的な男子大生ギャツビーとインテリな女子大生アシュレー。このカップルはいかにもウディ・アレンの映画にふさわしい登場人物だ。また、アシュレーに振り回されるギャツビーの心情を映像で表現しているのが、撮影監督のヴィットリオ・ストラーロである…

ディズニー映画とは真逆の結末 映画『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』感想・考察

原作は歴代唯一の京都アニメーション大賞の大賞受賞作。この物語の主人公は機械人形のような戦闘能力を備え、機械人形のように無垢な心を持つヴァイオレット・エヴァーガーデン。TVシリーズや外伝で、彼女は代筆業を務める過程で多くの人々の心に触れ成長し…

坂元裕二のセリフのディテール 映画『花束みたいな恋をした』感想・考察

世界規模のコロナ禍が続く2021年。エヴァの最終作が延期される中、緊急事態宣言下に封切りされた映画がある。それは僕がとても楽しみにしていた映画で、僕の好きな脚本家と監督が携わっている映画である。その映画の名前は『花束みたいな恋をした』。僕は本…

二人の視線は重なりすれ違い・・・ 映画『燃ゆる女の肖像』感想・考察

2019年のカンヌ国際映画祭で脚本賞とクィア・パルム賞を受賞した本作は、主要人物である2人の女性の関係を、視線で表現した映画であると思う。視線による見る/見られるの関係は職業上のものから始まり、より親密な関係になり、最終的に終わった関係となる。…

上り下りする家族 映画『パラサイト 半地下の家族』感想・考察

2019年のカンヌ国際映画祭パルム・ドール、2020年のアカデミー作品賞を受賞し、まさに映画史上の最高傑作のひとつとなったポン・ジュノ監督の『パラサイト』。大学時代に映画を2000本近く見た僕が、見てて思った監督の演出論を語っていきたいと思います。

ドイツ文化の子孫 映画『ばるぼら』考察・感想

今週のお題「自分にご褒美」。と言うことで、ここ2ヶ月英語の勉強を頑張っている僕は、己のご褒美に映画『ばるぼら』を観に行った。このブログでその感想を綴ろうと思う。 この映画は手塚治虫の漫画を原作にしており、その息子が監督をしている。そして何と…

映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』における良心

今週のお題「最近見た映画」。と言うことで、大学生4年間で2000本近くの映画を見た僕が、最近見た『コンフィデンスマンJP プリンセス編』を脚本の観点から考察してみる。 なぜ、脚本の観点から考察するかというと、この映画は脚本家・古沢良太のエッセンスが…

ノーラン風「007」 映画『TENET/テネット』を解剖してみる

今週のお題「最近見た映画」。と言うことで、大学生4年間で2000本近くの映画を見た僕が、クリストファー・ノーラン監督の『TENET』を見た感想と考察を書いてみる。 『鬼滅の刃』のヒットは様々な先行作品から影響を受けているからと言われているが、それはク…

煉獄杏寿郎の役割 映画『鬼滅の刃ー無限列車編ー』

あの大大人気の映画の感想を書こうと思う。その大大人気の映画とはもちろん『鬼滅の刃ー無限列車編ー』。これは大学生の時に映画を専攻し、大学4年間で2000本近く映画を見た僕の感想と考察である。 (※もし本記事を引用・参照される場合は参考文献または注釈…