GOTOトラベルを機に、屋久島で縄文杉を見ることを決意。しかし、往復10時間以上の屋久島トレッキングにいきなり挑むのは危険、、、と思った僕は関東近郊でトレッキングの練習をすることに。その第1弾として千葉県の鋸山に登ることにした。
お洒落でリーズナブルな登山用アイテム探し
関東近郊でトレッキングをするにあたり、青春18切符を購入。切符は5枚1セットなので、後5回何処かへ出かけなければならない。そこで色々な場所をリサーチしたが鋸山に決定。標高が329mしかなく観光地化されているのが、初心者にはうってつけだと思ったからだ。
とは言っても、このトレッキングの最終目標は屋久島で縄文杉を見ること。往復10時間以上の道のりをTシャツ、ジーパン、スニーカーで行くなんて無謀にも程がある。なので、屋久島に行く際にはトレッキングの装備を用意したいのだが、だったら練習段階でも装備を備えて行くのが良かろうと、鋸山に行く前に買い物をした。
仕事の昼休みに六本木のモンベルショップに立ち寄ってみた。そこは思っていたよりも広く、リュックやシューズ、ウェアなどから帽子や手袋といった小物まで幅広く取り揃えていた。また、流石のモンベル。値段もリーズナブルだ。僕は灰色マスクの店員さんからカタログを貰った。
一応、他のお店も見てみようと8月8日に千代田線の明治神宮前駅にやってきた僕は、そこから渋谷方面へ歩いていき、まずはノースフェイスへと入った。時期が時期なので店員は皆マスクを着用し、入店時には検温も行われた。店内は思ったよりも小さく、ショッピングモールの1エリアといった印象だ。トレッキングアイテムの中で最も必要だと思っていた靴は安くても20,000円くらいだった。とても20代の若者には買えない。他の服なども高級だった。
さらに渋谷方面へ南下していくと、パタゴニアがあった。こちらも入口で手をアルコール消毒し商品を探す。どうやら靴は売っていないようだ。安くてお洒落な登山用の服でもありはしないかと探してみるが、どれも高くてお洒落な服ばかり。僕が来るにはまだ早すぎたようだ。
コロンビアの女性店員
南下は続き、渋谷駅近くに来るとコロンビアがある。ここでも消毒をして店内に入り、奥に陳列されたトレッキングシューズを見ていた。すると大学生くらいの女性店員が「靴をお探しですか?」と声をかけてきた。ショートヘアで茶色く髪を染めた活発そうな女の子だった。
「今度、屋久島に行こうと思ってまして」と僕が答える。「それならこの辺りがいいですよ」と靴を取ってみせる店員。ソールが柔らかい靴なら普段の靴と履き心地が近く、ソールが硬い靴なら岩場を歩く際に滑りにくいそう。値段は前者が10,000円、後者が13,000円だった。ノースフェイスに比べたらかなり安かった。
彼女が「試し履きしてみますか?」と言うので、お言葉に甘えて試し履きしてみた。トレッキング用の靴下を借り、靴を履いてみて靴紐を結ぼうとしたら「そうじゃないですよ」と、彼女が靴紐を結んでくれた。鉤爪のようなフックに紐を引っ掛け、左右の紐をクロスさせるように結ぶそうだ。彼女の親切な接客のせいで僕の中で彼女の印象が強く残ってしまった。ここで靴を買おうと決めてしまった。
けれども、彼女に「今まで何軒か回ってきたんですか?」と言われ、「2軒回りました。この後もう1軒回ります」と僕が答える。すると彼女は「21時までやってますので待っていますね」と朗らかな笑顔で言った。僕はもう一度ここに来ることを再度決めた。
モンベルの男性店員
渋谷から東へ歩を進め、平日に見慣れた場所に着いた。西麻布の交差点にある「権八」というお店には、たまにお昼を食べに来る。親子丼をよく頼んでいた気がする。タランティーノが「キル・ビル」の舞台セットの参考にしたようで、店内にはタランティーノ関係のグッズが置いてあったりする。
「赤のれん」というラーメン屋は、夜遅くまでやっていたということもあり、仕事終わりに会社の先輩たちとよく来るお店だ。ラーメンはもちろん美味しいが、水餃子が有名なお店である。
六本木ヒルズのマクドナルドを過ぎ、エスカレーターで地下へ入っていくと、先日行ったばかりのモンベルが現れた。ノースフェイスやコロンビアがショッピングモールの1ブース程度の大きさだったのに比べ、モンベルはホームセンター程の広さを誇っていた。当然品揃えは多種多様で、僕はこのお店でパンツ、リュック、靴下、帽子、長袖シャツを購入した。それらは登山用アイテムなのでUVカットであったり、防水であったり、透湿性に優れているようだ。
僕がどの大きさのリュックを買おうか悩んでいると、灰色のマスクをした男性店員が話しかけてきた。「この前カタログをお渡しした方ですよね?」僕はびっくりした。店員は毎日大勢訪れる客のことを覚えているのかと。言われると確かにその時の店員も灰色のマスクをしていた青年だったような。。。その店員は「買いたい商品決まりました?」と言った。僕は買い物カゴの中を見せ、「後はリュックを買う予定なのですが、サイズが決まらなくて」と答えた。
「どちらに行かれる予定ですか?」「屋久島です」「それなら防水は必須ですね。屋久島は1ヶ月に40日雨が降ると言われていますから」「なるほど」「ちなみに何泊ですか?」「トレッキング自体は日帰りです」「それなら20L〜30Lのサイズがいいと思います」
僕はそのサイズの赤いリュックをカゴに入れた。そしてトレッキングシューズを見てみたが、安くても15,000円からだったので、やはり靴はあのお姉さんがいるコロンビアで買うことにした。
コロンビアの女性店員との再会
来た道をひたすら戻る道すがら、僕の胸中はあの女性店員がまだお店にいるかいないかでいっぱいだった。「赤のれん」も、青山学院大学も、渋谷駅も通り過ぎ、遂にコロンビアに到着した。
店内に入るなり僕は女性店員を探したが、茶色いショートヘアの彼女は他の客のレジ対応をしていた。僕はトレッキングシューズのコーナーで靴を見ていたが、別の女性店員が何かお探しですかと声をかけてきた。「先ほど靴を試着したものなのですが」と僕が語尾を濁らせて話していると、先ほどの彼女がやってきた。
「色々回ってきましたか?」と彼女が言うと、僕は左手に持っていたモンベルの紙袋を持ち上げた。「靴はもう買っちゃったんですか?」と彼女が悲しそうに言うと、「さっき試し履きした靴を買いに来ました」と僕が答えた。すると彼女は「25cmですね、分かりました」と扉の向こうへと消えていった。
レジでお会計をしている間、僕は「トレッキングの靴って、家から履いていくものなんですか?」と話しかけてみた。「人によります。家から履いていく人もいれば、向こうで履き替える人もいます。私は履いてっちゃいますけど」と彼女が答える。僕は内心、この人も山登りするんだと好意的に思ったが、今度山登りしませんか?と誘う勇気が出なかった。彼女が行きたいですと連絡先を教えてくれるわけでもないし、コロンビア渋谷店内で変な奴がきたと噂されるのを恐れてしまったからだ。しかし、このブログを書いている最中も、茶色いショートヘアの彼女が頭から離れない。
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次の旅行記はこのトレッキンググッズを身につけ、千葉県の鋸山へ。
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