川井書生の見聞録

映画評論、旅行記、週刊人生の記録を中心に書いています。

Go To 伊勢志摩!① 志摩の海を堪能する(書生の旅行記16)

 未曾有のパンデミックが起こった2020年最後の月。僕は父親が新しく購入した中古のボルボ(ややこしい)に乗って、三重県の伊勢志摩へ行った。2016年にサミットを開催したこの地は、世界の要人を招くにふさわしい景勝地。僕は志摩の自然と伊勢の歴史を2日間にわたり堪能した。これは初日の志摩旅行の旅行記である(※GoToトラベルの商品は僕にとって「#買って良かった2020」でした)。

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英虞湾に浮かぶように建っている西洋風の宿泊施設。横山展望台から。

⑴ 高台から伊勢志摩の海を眺望する

旅は松坂牛から

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このご時世、松坂牛も感染対策は必須。

 名古屋を過ぎると間もなく三重県に入った。早朝5時30分頃に自宅を出発したので、まだ9時になっていなかったと思う。左手に見えた長島スパーランドの絶叫マシンはまだ動いていなかった。僕は父親が新しく購入した中古のボルボをジェットコースターのように走らせる。ギャルの口紅のように真っ赤なボディに染められた車は、キムタクが出演している日産のスカイラインにそっくりだった。

 予定より早く着きそうだったので、昼飯を取りに松坂で下道に降りた。僕はカーナビを頼りに松坂城跡の近くにある「まるよし」という松坂牛で有名なお店に来た。ここもまだ開店していないようだったが、すでに何組かのお客さんが並んでいた。

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左)まるよし 右)松坂牛のステーキ丼

 僕は地域共通クーポンを使って3,000円の松坂牛丼を注文した。普段だったら食べれない値段だ。。。大きな丼にびっしり敷かれた松坂牛が配膳された。真っ赤なお肉を食べるのは静岡の「さわやか」に行った時以来である。全部焼けているわけではないので、とても柔らかい。タレも甘くて美味しかった。

国立公園の果てにある断崖絶壁の安乗埼灯台

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安乗埼灯台

 松坂で高級な昼食をとった後、僕はようやく伊勢志摩に入った。国立公園の標識が、僕に北海道旅行を思い出させて懐かしく感じた。灯台好きの僕は、木下惠介監督の『喜びも悲しみも幾年月』の舞台にもなった安乗埼灯台を最初の観光スポットに選んだ。

 灯台が屹立する安乗崎へは、とても細い道を通る必要があった。この道は、教習所でL字クランクを簡単に攻略できた者でさえ困難だろう。こんな道で対向車が現れたら一体どうするんだろう?というような道を抜け、駐車場にボルボを止め、安乗岬にやって来ると、途轍もない強風が吹き付けてきた。

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潮風が安乗岬を駆け抜けていく。

 安乗埼は昔から航海の難所で、1672年には篝火が設置されたほどである。やがて明治維新を迎え、より一層海運の重要性が増した日本は、この地に西洋式灯台を設置することを決定した。そして、1873年、イギリス人技師ブライトンの指導により安乗埼灯台が建設された。全国で20番目だった。(※それ以前の灯台の歴史については、以下記事の犬吠埼灯台の箇所を参照されたい)

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  当初は八角形の木造灯台で、明かりは石油ランプを使用していた。しかし、海の浸食により地盤が崩れてきたため、2度の後退を余儀なくされた。その際に、現在の四角形の鉄筋コンクリート造に建て替えられた。僕はアメリカのキーウェストや銚子の灯台などを見てきたが、四角形の灯台は珍しく感じた。今までは螺旋階段をぐるぐる上るのだが、ここではカクッカクッと階段を上っていくのだ。

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灯台から安乗岬を見下ろす。

 灯台の上はさらに強風だった。Canonのカメラを両手でがっしり持っていないと、落としてしまいそうで心配になる程に。灯台から安乗岬を見下ろすと、今自分の建っている場所が、まさに尻尾の先のような先端に位置しているのがよく分かる。ここで紙飛行機を飛ばしたら一体どこまで飛んでいくのだろうか。

英虞湾を見渡せる今時な横山展望台

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横山展望台から見た英虞湾

 安乗崎岬から再び狭すぎる道を進み、横山展望台を目指す。そこは志摩の海(英虞湾)を一望できる場所である。展望台の麓にあるビジターセンターに到着すると、駐車場はすでに満車。仕方なく展望台から離れた駐車場に止めることに。ただ、そのお陰でビジターセンターに立ち寄ることにした。

 ビジターセンターは他の国立公園にもあるように、その地域の生態や歴史が紹介されている。また、ここには伊勢志摩が舞台となった文学作品も紹介されており、野口雨情、鴨長明、田山花袋、三島由紀夫について述べられていた。先ほど行ったばかりの安乗崎は、詩人でもあり医師でもあった伊良子清白が作品の舞台にしていたそうだ。

 これは僕からの補足情報だが、この地は先述した木下惠介監督の映画の舞台にもなっているし、近隣の地である松坂で育った小津安二郎監督の『浮草』の舞台にもなっている。また、泉鏡花の同名小説を映画化した衣笠貞之助監督の『歌行燈』は伊勢を舞台にしている。

 さて、道が少々それたが、筆を本筋に戻そう。標高62mの横山ビジターセンターから80mほど登ると、横山天空カフェテラスに辿り着く。この標高140mの展望台から英虞湾を見下ろすと、複雑な志摩の海が広がっている。それは一面が海ではなく、海と森が共生しているかのような不思議な世界だった。

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英虞湾

⑵ 伊勢志摩に現れた地中海

船上から英虞湾に沈む夕日を眺める

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志摩地中海村

 太陽が沈む頃、今回の宿泊地である志摩地中海村に到着した。ここは地中海の町をイメージとしたリゾート施設であり、確かにスペインやフランスの町のようだった。赤いボルボも自宅の駐車場に止まっているより、ここに駐車してある方がお似合いであった。

 僕が泊まった部屋は1階が寝室で、2階が居間だった。もはや1棟貸しである。アメニティーも豪華であったし、トイレも各階に付いていた。浴室も大きい。

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1階は寝室で2階は居間

 間もなく日没だったので、ちょうど良いタイミングでサンセットクルーズに参加できた。部屋を出て、異国情緒たっぷりの通りを海側へ歩いていくと、リゾート地にありそうな小さなクルーズが停泊していた。

 クルーズの中はその外見には似合わず豪奢であった。アラン・ドロンが主演していた『太陽がいっぱい』に出てきそうな船である。あれは確かイタリアが舞台だったような。イタリアの地中海側かアドリア海側か、どちらが舞台だったかは覚えていないが。

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英虞湾クルーズの船

 船は地中海村を出発した。英虞湾の沖に少し出ただけでも風が強くなってきた。空を駆ける雲のスピードも速い。船は揺れながら、サンセットを見るポイントを目指した。

 その間、ガイドの方が英虞湾について色々と説明をしてくれていた。船が地中海村を離れたばかりの時、ちょうど赤と黒の帆船?のような船が対岸に帰港しようとしていた。ガイドによるとその赤黒い船は「英虞湾で一番大きな船で、スペインの船をイメージしている」そうであり、伊勢志摩サミットを行なった賢島に戻っている最中らしかった。

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賢島の船

 英虞湾の沖へ進むほど、海上に網のようなものが仕掛けられていた。それは道路の白線が何本も並んでいるようだった。親切なガイドによると、それは「真珠の養殖現場」だそう。

 と、色々とガイドの話を聞いているうちにサンセットを見るポイントに到着した。風がとても強いにも関わらず、カモメが船の周りを飛び回っていた。カモメの上には相変わらず雲が流れており、太陽は恥ずかしそうに顔を隠したり見せたりを繰り返していた。

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雲が邪魔で見えなーい!

 ガイドはこの時の雲の多さから「夕日は見えませんねえ」と諦め、サンセットクルーズの料金を半額にしてくれた。いつもなら船はここに留まり日没を鑑賞するのだが、今回は180度Uターンして本拠地へ帰ることとなった。知床の時のクルーズの中止と言い、どうやら僕は船と相性が悪いようだ。

志摩地中海村の夜

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 船が夕日鑑賞ポイントを離れると、カモメたちが追ってきた。彼らはしばらく船の周囲を飛び回っていたが、船が地中海村に近づくにつれ、沖へ去っていった。夕日が志摩地中海村の向こうへ沈んでいくにつれ、村には明かりが灯り始めた。

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志摩地中海村

 夕食の時間まで少々時間があったので、天然温泉に足を運んだ。街並みは南欧風の地中海村であるが、温泉施設の名前は「アルハンブラ」とイスラム風の名前だった。それで僕は「なるほど、ここはスペインなのか」と理解した。スペインにアルハンブラ宮殿があるのだから。

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天然温泉「アルハンブラ」

 アルハンブラに一歩足を踏み入れると、アラビックな音楽に気付いた。インテリアもトルコにあるようなガラス製の小物があったりと、まさに『アラジン』の世界だった。

 内湯のシャワーはボタン式ではないので、お湯が途中で止まることもなく、快適に身体を洗えた。コロナ禍だったので、人も少なく、ほぼ貸切状態でお風呂に入れたのも心地よかった。

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カフェ「アミーゴ」で夕食

 アルハンブラ宮殿から出た後、ちょうど夕食の時間だったので、カフェ「アミーゴ」へ向かった。空色と白をイメージカラーとした店内は綺麗で、晴れ渡るような空を想像させる。感染対策のビニール手袋とマスクをはめてビュッフェをよそう。伊勢志摩産の魚が豊富で、南欧風の料理が多かった。

 お腹の膨れた僕は、明日の伊勢旅行の計画を立てている間に、いつの間にか眠ってしまっていた(後半は以下記事に続く)。

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参考文献(※参考順)

・「あなたが選んだ日本の灯台50選」燈光会

・「横山展望台散策マップ」横山ビジターセンター

・「志摩地中海村チラシ」志摩地中海村