川井書生の見聞録

映画評論、旅行記、週刊「人生の記録」を中心に書いています。

人生2度目の就職・転職活動④ー文藝春秋編ー(2021年5月23日号)

 これは26歳になった神奈川県在住の男性の人生記録「2度目の就活編」。前回は出版・映像事業を手がける総合エンタメ企業を受けるも2次面接で敗退。今度は現役大学生時に2次面接で落ちた文藝春秋の採用選考を受けた。※人生の記録は週刊になります。毎週日曜日の19:00に投稿します。

週刊文春 2021年4月8日号[雑誌]

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⑴ 「運」

 今から4年前になる。その時は入社志望書通過後に上智大学の近くにある高級ホテルの宴会場で筆記試験を受けた記憶がある。1次面接も2次面接も文春の本社で受けた記憶がある。待機室で他の就活生がポール・オースターなどアメリカ文学の話をしていた記憶がある。

 それから4年後。もう一度入社志望書を記入した。4年前は映像ビジネスの部署を志望して落ちたので、今回は週刊文春の部署を志望することにした。

 以前もあったか忘れてしまったが、課題作文があった。「運」をテーマに800字以内で書きなさいというものだった。僕がマスコミ塾で学んだ作文(それでも拙いが)を、以下に掲載する。

 それを幸運と受け取るか、不運と受け取るかはその人次第だ。

 私は映像制作会社に制作進行として入社した。その仕事はプロジェクトの管理、スタッフやクライアントとの渉外、ディレクターやプロデューサーの補佐など多義に渡る。

 社会人になって2年目の時、自動車メーカーが二輪レースで世界一になった歴史を描く、ドキュメンタリー映像を制作することになった。そして、その制作チームに私が呼ばれた。

 その映像を制作するチームは、制作進行の私を含めて9名いた。他はプロデューサー、ディレクター、カメラマンなどである。

 この制作チームは徹夜作業が多く、怒号が飛び交うチームとして恐れられていた。以前そのチームで制作進行を担当していた先輩は、毎日のように「地獄」と呟いていた。

 しかし、歴史好きの私にとって、この企画はそそられた。

 制作がスタートした。私たちはメカニックやエンジニアを取材する一方で、世界チャンピオンが乗ったバイクをカメラにおさめた。ここまではスムーズだった。

 映像を編集する過程で、何度も徹夜をした。原因は構成台本が二転三転し、その度に映像を修正しなければならなかったからだ。私は台本を書いているプロデューサーに幾度となく完成を促したが、台本は固まらなかった。

 度重なる修正でディレクターの怒りが爆発した。私は2時間怒られ、頭を叩かれもした。その直後、私は涙声になりながらプロデューサーに台本の完成を催促した。彼はようやく書き終えてくれた。

 側から見れば、その仕事を振られた人間は「不運」だろう。しかし、仕事の題材は面白いものだった。少なくとも私には、新たな世界を知ることができる絶好の機会だった。完成後に、私はプライベートで二輪レースを観戦しに行った。私はモータースポーツの世界を知ることができて「幸運」だったと思う。

 塾の先生には「まだまだ発展途上」と言われたこの作文だが、「一文目にテーマを持ってきたのは分かりやすくていい」と褒められた。

 その1文目のおかげか、再び書類選考を通過することができた。次はweb面接である。

⑵ 週刊文春を読んでみる

 週刊文春や文春オンライン志望だったので、急いで直近の週刊文春を読み始めた。政治経済社会などのニュース記事は、五輪の開会式の差別問題やワクチン接種問題を特集していた。これらはワイドショーと似たような内容で、面白いというよりはこんなことが起きているんだという情報収集目的で読んだ。

 個人的に面白かったのは連載や本を紹介する「文春図書館」、話題の映画などを紹介する「見もの聞きもの」だった。週刊誌なので「キネマ旬報」や「ユリイカ」などの月刊誌の論考や批評に比べると、文章は表面的にならざるを得ないが、特にシネマチャートなどは面白かった。自分とは違う視点で見ている人々の意見が書いてあったから。

 4月8日号から元日本経済新聞記者の秋葉大輔さんの新連載「ヤメ銀」が始まった。銀行を辞め新たな世界で活躍する人々について書かれた記事である。これが面白かった。銀行員は名刺1つで企業の社長に会えて、様々な業界を知ることができるらしく、これは私が働いていた広告の世界に似ていると思った。広告業界も企業の社長や事業担当者に会う機会が多く、自動車業界・製薬業界・建築業界・官公庁・エネルギー業界など実に様々な業界に足を踏み入れることができるのが楽しみの1つだ。銀行員と違って、広告業界の人間は取引先に重役として引き抜かれることはないのだが(新卒の時に金融業界を受ければよかったと後悔した)。

⑶ WEB1次面接

 形式は個人面接で面接官が2人いた。1人は若手女性社員、もう1人はベテラン男性社員だった。いつものように志望理由や自己PR、以前の会社を辞めた理由を喋る。加えて、最近気になったニュースを訊かれたので、週刊文春に載っていたワクチン接種の遅れについて書かれた記事について話した。

 若手女性面接官は僕が最近読んだ映画である『花束みたいな恋をした』に興味を持ったようだった。僕は理想と現実の折り合いをつけていく過程がいかにも20代の若者らしいテーマだと話した。

 ベテランの男性面接官は僕が好きな作家である司馬遼太郎に興味を持ったようで、『国盗り物語』の話をした。ギャガの面接の時といい、年配世代に司馬遼太郎は受けるらしい。また、週刊文春のシネマチャートについても語り合った。向こうは「映画会社は毎週うちのレビューを気にしてるんですよ」と楽しそうに話してくれた。

 面接は結構盛り上がったのだが、お祈りメールが届いた。正直前回の2次面接より先には行けるだろうと思っていたので、かなりショックだった。もしかしたら以前文春の受験したことを話したのがいけなかったのかもしれない。

 

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ESや面接において参考にした書籍

 週刊誌記者を志望していたため、新聞ダイジェスト社の上記書籍で政治経済国際社会などを勉強した。文春の面接では、出番が来なかったが、その後の新聞社の採用選考には重宝した。巻末に載っている問題集はマスコミの筆記試験に最適。