川井書生の見聞録

映画評論、旅行記、週刊「人生の記録」を中心に書いています。

Go To 伊勢志摩!② 伊勢神宮へお参り(書生の旅行記17)

 未曾有のパンデミックが起こった2020年最後の月。僕は父親が新しく購入した中古のボルボ(ややこしい)に乗って、三重県の伊勢志摩へ行った。2016年にサミットを開催したこの地は、世界の要人を招くにふさわしい景勝地。僕は志摩の自然と伊勢の歴史を2日間にわたり堪能した。これは2日目のの伊勢旅行の旅行記である(※GoToトラベルの商品は僕にとって「#買って良かった2020」でした)。

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伊勢神宮内宮・風日祈宮

⑴ 天照大神の聖地巡礼ー伊勢神宮参拝ー

神様の部屋ー天の岩戸ー

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天の岩戸

 僕はヨーロッパ世界の志摩地中海村を後にし、古き良き日本を観光できる伊勢へ向かった。まずは、天皇の祖神である天照大神が隠れたとされる洞穴とその洞穴を塞いだとされる岩戸を見に行った。

 大通りから天の岩戸へと分かれる道に鳥居がかかっていた。どうやら鳥居は全部で3つあるらしい。駐車場に向かう途中で2つ目の鳥居の下をくぐった。赤いボルボを駐車し、しばらく小道を歩くと、3つ目の鳥居が現れた。

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天の岩戸・3つ目の鳥居

 3つ目の鳥居は巨大な杉木立の合間に建てられており、太陽の光はうっすらとしか届いていなかった。そのため、森の中はひんやりしていた。日陰の小道には苔が生しており、『もののけ姫』のシシガミ様の森のように少し気味が悪く、深閑としていた。

 鳥居をくぐり、神路川沿いに小道を進むと、禊滝が見えてきた。禊滝の流れ出る場所には沢山の薪が積まれていた。僕は禊滝の脇の道を登り、薪の裏へと回った。滝へと流れていく水を追いかけていくと、その水は洞窟へと続いていた。

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禊滝

 その洞窟こそが天の岩戸であり、清水はそこから湧いているようだった。この洞窟こそが天照大神が隠れたと言われる場所である。なぜ、天照大神が隠れたのかと言うと、彼女の兄弟である素戔嗚の素行の悪さに嫌気がさした、あるいは素行を正すためだそうだ。

 しかしながら、天照大神が岩戸に隠れてしまったため、世界から太陽が失われてしまった。世界は真っ暗闇になってしまったので、困った人々はどうにかして彼女を岩戸の外に出てもらうように工夫をする。

 その方法は岩戸の前でアメノウズメを始め、踊ったり、歌ったりとお祭り騒ぎをすることだった。すると、洞窟を塞いでいた岩が少し開き、天照大神が外の世界を覗いている。その隙に岩戸を開け、天照大神を外へ出した。これにて世界に再び光が戻ったのである。

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天の岩戸

 その後、この騒動の原因となった素戔嗚は追放されてしまった。

まずは伊勢神宮外宮へ

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伊勢神宮外宮・正宮

 伊勢神宮には、全国125社が属しており、約2000年という長大な歴史を持つ神社である。内宮には最も尊いとされる太陽神・天照大御神が祀られ、全国8万社以上の神社の本宗として崇拝されている。外宮には神々の食事を司るとされる豊受大御神が祀られている。古来から、外宮の後に内宮に参拝する慣習になっている。

 外宮に正宮には、衣食住の守護神でもある豊受大御神が祀られている。2013年の第62回式年遷宮により移築された姿だが、その姿は遥か昔からきっと変わりないのであろう。少なくとも、1960年に公開された『歌行燈』に出てきた伊勢神宮の姿とは変わりない。この姿をこの映画に出演した市川雷蔵も、清盛楠の逸話を残した平清盛も見たと思うと、浪漫を感じずにはいられない。ここは日本で最も古い場所の一つなのだ。

 正宮の後は、下記3つの別宮を参拝した。

  • 多賀宮・・・御祭神の荒御魂を祀る
  • 土宮・・・平安時代、宮川の氾濫による被害が相次いだことにより堤防の守護神に
  • 風宮・・・鎌倉時代の元寇の際、猛風により蒙古軍を全滅させ国難を救ったことにより風雨を司る神として祀られる

 それぞれの建物には窓などが見受けられず、僕が今までよく見てきた戦国や江戸幕末時代の建築とは異なる趣をしていた。それらの建物には窓など現代の建築に通じる特徴があるからだ。また、他の神社とは異なり、朱色なども一切使わず、装飾も質素で、原始的な建築のようにも感じられた。

伊勢神宮内宮を参拝

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宇治橋

 外宮前からバスに乗って内宮へ向かう。バスは内宮の駐車場に並ぶ車列を追い越して、宇治橋前に到着した。コロナ禍にも関わらず車も人も多かった。観光目的の人もいれば、この時期だからこそ無病息災を祈る人もいるのだろうか。また、日頃の感謝を伝える方もいることだろう。

 僕はCMで本木雅弘さんが歩いていた宇治橋を渡った。この橋は神と人を結ぶ橋とも言われており、『千と千尋の神隠し』でも、人間である千尋が橋を渡って神々がおわす湯屋へ足を踏み入れる。僕は息を止めずに橋を渡ってしまったが、あなたがもしカオナシの存在を信じるのであれば、息を止めて渡った方がいいのかもしれない。


旅行の面白さを初体験!本木雅弘が“ずらし旅”の魅力を発信/JR東海CM+メイキング

 五十鈴川に沿いながら参道を進んでいくと、御手洗場に到着した。ここは1692年に桂昌院が寄進した石畳の御手洗場で、参拝者は五十鈴川の清水で手を清めるのだ。また、この川は倭姫命が裳裾の汚れを洗った場所ともされ「御裳濯川」とも呼ばれているそう。この川の近くには、五十鈴川の守護神である瀧祭神が祀られている。

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五十鈴川。左の石畳が御手洗場。

 内宮の正宮も外宮と同じで、高床式倉庫から発展したと言われる神明造である。こちらも外宮と同様に四方を垣に囲まれている。ただし、外宮の屋根上の鰹木は9本で、内宮の方は10本と異なっている。ここでは、天皇の祖神でもあり八百万の神の中心でもある天照大御神が祀られている。

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もっくんのCMと同様、正宮は撮影禁止でした。

 正宮の後は、下記3つの場所を参拝した。

  • 荒祭宮・・・天照大御神の荒御魂を祀る。

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    荒祭宮
  • 風日祈宮・・・風雨を司る級長津彦命と級長戸辺命を祀る別宮

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    風日祈宮
  • 御厩・・・ここで神馬が見られる。馬は思っていたよりも大きい。
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    御厩

 宇治橋を通って再び人間の世界へ舞い戻った僕は、内宮に隣接しているおはらい町とおかげ横丁で昼食をとることにした。そこには、西洋化する以前の日本の姿が残されていた。

おはらい町&おかげ横丁グルメ旅

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おはらい町

 内宮からおはらい町に入ると、ズラーっと昔の日本の町並みを見ることができる。日本家屋の建物の量は川越や鎌倉よりも多く感じた。どの建物も基本的に営業中で、実際に中に入って昼食や軽食をとることができた。

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おはらい通り

 僕が最初に食べたのは松坂牛のお寿司だった。一貫当たり700円という高級寿司だったが、肉は柔らかく、これこそ高級肉という味だった。以前、飛騨高山で飛騨牛の寿司を食べたことがあるのだが、それと似たような感じだった。正直、お金さえあればお腹いっぱいになるまで食べていたかった。。。

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松坂牛の寿司

 お店は、赤福などのお土産屋、スイーツ屋、伊勢うどんなどのご飯どころが多かった。お坊さんが道端に立っていたり、人力車が道を通ったり、着物を着た女性がそぞろ歩きしていたりと、古き日本の景観がここにはあった。通りの裏へ行くと、五十鈴川が流れておりそこを泳いでいる川魚を見ることもできた。川からは宇治橋を渡る人間たちも遠くに見えたし、赤福に並ぶ人々も視界に入った。

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人力車が通る、五十鈴川が流れる。
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僕は赤福をお土産に買った。右は「赤福」の裏側。

 お腹が空いたので、僕は「中井屋」という伊勢うどん屋に入った。500円の伊勢うどんを注文し、席に着くこと数分。丼に入った伊勢うどんが届いた。ここのお店だけかもしれないが、伊勢うどんは汁がなく、タレがかかった状態で運ばれてきた。油麺のようなイメージだ。麺は太いがコシはなく、柔らかくプルプルとした食感。まさに伊勢にしかない独特なうどんだった。

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中井屋の伊勢うどん

 食後、僕はおはらい町のちょうど中央あたりにあるおかげ横丁をブラブラした。そこには昔ながらの常夜燈があったり、天照大御神に関する神話(古事記)を紹介する施設もあれば、明治大正時代を想起させる洋館もあった。12月中旬の季節、それらのレトロな建物に紅葉が映える。

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左)おかげ横丁の常夜燈 右)この季節は紅葉が多かった
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左)『古事記』を紹介する和風建築 右)開花期の洋風建築に開かれた喫茶店の看板

 おかげ横丁を散策していたら甘いものを食べたくなった。そんな時ちょうどおはらい町に美味しそうなソフトクリーム屋さんがあった。プリンの上にソフトクリームが乗っかったスイーツがあるらしいので、迷わずそれを注文。「みるくがっこう」という店名にふさわしい内装で、中には学校の机や椅子が置かれていて、朝ドラや昭和の雰囲気が出ていた。内宮周辺では、神明造から昭和風の建築まで、日本の建築の歴史を辿れるのかもしれない。

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「みるくがっこう」のプリンとソフトクリーム

⑵ イルミネーションの花畑ーなばなの里ー

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なばなの里

 伊勢志摩旅行の帰り道、ことのついでになばなの里に行くことにした。夕食ついでに軽く観光でもしようかくらいのつもりでいたが、なばなの里のイルミネーションは光の花畑とも形容できるほど綺麗だった。

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イルミネーションはなくとも、紅葉は十分綺麗。

 僕は里を一周した後、足湯で太陽が沈むまで待った。空が黒くなるにつれて、地上は色彩豊かに、光り輝く世界へと移り変わっていった。僕は足湯を出て、入口からもう一度、里を一周することにした。

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樹齢1000年のオリーブ大樹(画面左奥)

 最初に見学したのは樹齢1000年の大樹があるエリアだ。一輪一輪の花を模して一灯一灯のLEDライトが咲いていた。青白い光は花畑を作り、黄橙の光は花壇を形作っていた。その色彩の組み合わせは、まるでディズニー映画の夜のシーンみたいだった。

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鏡池。人間がシルエットとして見えるのも趣深い。

 次は順路を飛ばして、鏡池と呼ばれるエリアに来た。ここは紅葉が並ぶ場所で、実は着色されてるんじゃないかと思うくらい綺麗な紅い葉が見れる。照明が紅葉に当たっているため、それらを鑑賞している人間たちは逆光になり、シルエットになっていた。それがまた影絵やサンドアートのようで幻想的な世界を創り出していた。

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光のトンネル

 僕はイルミネーションのメイン会場に行くために、全長200mの光のトンネルを通った。ここを高速で通ったら『スター・ウォーズ』のワープシーンみたいになるのかなと思いつつ。

 トンネルを抜けると「奇跡の大樹」と銘打たれたイルミネーションのメイン会場が出現した。そのイルミネーションの量は今までの量とは比較にならないほど巨大な空間だった。この年の9月に行った北海道・美瑛の四季彩の丘に匹敵するほどの大きさのLED畑だった。

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奇跡の大樹

 奇跡の大樹は地上・海中・天空・宇宙と4つのシーンがプロジェクション・マッピングされるが、中でも幻想的だったのが海中の大樹だった。大樹が巨大な珊瑚礁となり、その周囲をエイやクラゲが泳ぐ映像なのだが、僕にはそれが『ファイナルファンタジー14』(プレイしたことない方ごめんなさい)の海底マップのように見えた。『モンスターハンター:ワールド』の陸珊瑚の台地(プレイしたことない方ごめんなさい)のようにも見えた。つまり、ゲームに出てきそうなほど幻想的な世界だった。

 僕はもう一度鏡池に寄り、紅葉のような色をしているボルボに乗って、日付が変わるか変わらないかの頃に帰宅した。 

(※伊勢志摩旅行の前半記事はこちら!)

kawai-no-kenbunroku.com

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参考文献(※参考順)

・石ノ森章太郎「古事記」中公文庫 

・「まっぷる 三重 伊勢志摩・熊野・ナガシマリゾート」昭文社

・「おかげ横丁ご案内」株式会社伊勢福

・「なばなの里マップ」なばなの里